内科・漢方内科|横須賀市 久里浜
お問い合わせはこちら
HOME 当院について 診療案内 漢方について よくある質問 交通アクセス

ホーム > 過去のドクターコラム一覧 > 新型コロナウイルスへの漢方的考察(1)


2020.5.1

新型コロナウイルスへの漢方的考察(1)
漢方の治療原則と「君臣左使」

 巷では新型コロナウイルスCOVID19が大流行し、都市機能が麻痺寸前です。我々の先祖も、過去に「疫病」を何回も経験しており、その名残は漢方薬の古典を読むと、随所に見られます。我々の先祖も、過去に経験のない「疫病」に遭遇しては、その時々の知恵をしぼって対応したのでしょう。

 そこで、今回の疫病対策になるかもしれない漢方薬を考察してみたいと思います。少し長くなりますので、順を追って詳しく解説します。まずは、漢方治療の原則から。


漢方 4つの治療原則 

 4つの治療原則を簡単に述べると、「1)冷えている人には、温熱剤で温める」「2)熱がある人は、寒涼剤で冷やす」「3)正気の足りない人は、補剤(ほざい)で補う」「4)病邪が旺盛な人は、瀉剤(しゃざい)で邪を除く」です。

漢方処方を形成する生薬は、寒温補瀉の性質と、辛・苦・酸・甘・鹹(かん:塩辛い)の5味、およびそれぞれに特有な薬効を有しています。

温熱剤、寒涼剤、補剤、瀉剤などを組み合わせてできた処方薬が、証(しょう)と呼ばれる体質に合っていると漢方薬は効果を発揮しますので、これを「方証相対(ほうしょうそうたい)」と言います。

生薬の数と効き目の関係

 そして漢方薬には色々な原則があるのですが、その一つは、生薬数の少ない処方ほど効き目が鋭いということです。

例えば、こむら返りに頻用される芍薬甘草湯(しゃくやくかんぞうとう)は、芍薬と甘草の2味ですので早く効き目が現れ、筋肉のこむら返りを素早く治します。

のどの痛みを取る桔梗湯(ききょうとう)も、桔梗と甘草の2味ですので、早くのどの痛みを取ります。もっと早く効果を表すために、甘草1味の甘草湯(かんぞうとう)という処方もあり、激しい咳やのどの痛みを素早くとります。

効き目はゆっくりなのが漢方?

 漢方はゆっくりと効くというイメージを持たれる方が多いのですが、薬味数が少ないほど早く効果を表します。

逆に、薬味数が多くなると、じっくりと効果を表す処方もあります。

また、よく患者さんから長く飲んで大丈夫なのですか?という質問を受けますが、後述する理由により、長く飲むほど体が丈夫になり、体質が改善される処方がたくさんあります。

漢方薬の構成―君臣左使

 このような漢方薬の処方は、異なる役目を持つ君薬(くんやく)、臣薬(しんやく)、左薬(さやく)、使薬(しやく)という4つの生薬で構成されています。

君薬は、君主すなわちその処方の中心を担う、最も重要な生薬です。

臣薬は、まさに君薬を大臣のように助けてその効能を増強する生薬です。

左薬は、その名の通り君薬と臣薬を補佐しそれぞれの薬効を増強したり、逆に薬が効きすぎて副作用が出るのを抑えたりします。その処方の優劣は、左薬の配合で決まると言われる程重要なポジションです。

使薬は、処方の中の生薬同士を調和させ、全体の味や性質を調整して、薬効をサポートし誘導する役目を持ちます。

この「君臣左使(くんしんさし)」を理解することが、漢方を深く理解する上で大切になります。

ではつぎに、有名な葛根湯(かっこんとう)で君臣左使を見てみましょう。 次へ>>

(院長: 小野村)




サイトマップ

久里浜漢方内科クリニック 横須賀市久里浜4-13-7 TEL:046-884-8826
Copyright Kurihama Kampo Clinic All rights reserved.