漢方薬というと、沢山の生薬を組み合わせて作られているという印象がありますが、その構成生薬の中には、我々の身近なところにあるものが意外にあります。
例えば、風邪をひいた時に服用する葛根湯の場合、葛根(クズの根)、芍薬、シナモン、生姜、ナツメなど身近な食品が用いられています。
青果コーナーにもある生薬の材料
スーパーの青果コーナーを見てもいろいろあります。山芋(効果:強精、強壮)、レンコン(効果:健胃整腸)、菊の花(効果:鎮静、眼疾改善)、ウド(効果:発汗、鎮静)、らっきょう(効果:排膿、鎮痛)、赤しそ(効果:気の巡りをよくする)、生姜(効果:健胃、鎮嘔)、白ネギ(効果:発汗、利尿)、あんず(効果:種が鎮咳、鎮痛)、みかん(効果:皮が健胃、鎮咳)、ゴマ(効果:滋養強壮)、あずき(効果:解毒、利尿、便通をよくする)などが生薬の素材になり得ます。
また、玄米(効果:滋養清涼)、小麦(効果:強壮、消炎、鎮痛)、牡蠣(効果:鎮静、強壮、健胃)、はちみつ(効果:強壮、緩和)、緑茶(効果:中枢興奮、瀉熱)、ハトムギ(効果:利尿、消炎、鎮痛)なども漢方薬の中で用いられています。
こんなものも漢方薬
変わったところでは、桜の木の樹皮(効果:解毒、消炎、鎮咳)、竹の節(効果:鎮咳、鎮静)、石膏(効果:鎮静、解熱、消炎)、セミの抜け殻(効果:解毒)、米の麹(効果:滋養強壮、消化促進)、山椒(効果:腹痛を治しガスの排泄を促す)、モクズガニ(効果:滋養強壮、化膿抑制)、クチナシ(効果:鎮痛、瀉下、利胆)、柿の蔕(効果:しゃっくりの予防)、ごぼうの種(効果:消炎、解熱)、紅花(効果:血液を清浄にする)、よもぎ(効果:止血、強壮、補血)、朝顔の種(効果:利尿、瀉下)、たんぽぽの根(効果:健胃、利尿、母乳の出を良くする)などが用いられます。
昔の人の知恵
また、古い文献では、童子(わらし)の小便、苔むした古い瓦の残骸、サツマゴキブリのメス、水蛭(すいしつ:血を吸うヒル)などを用いたとの記録があります。
サツマゴキブリのメスは□虫(しゃちゅう:□は庶の下に虫)と呼ばれて重宝され、大黄□虫丸(だいおうしゃちゅうがん)という丸薬として、強い駆オ血剤(血の巡りを良くする薬)として用いられていました。水蛭も強力な駆オ血剤(血の巡りを良くする薬)として用いられていました。
何でも薬として応用し利用してしまう昔の人の知恵には、不思議な魅力があります。
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