漢方薬の処方中の効果は陽気(ようき)を巡らし、寒(さむけ)を去り、体表面の溜まった気を発表し、胃のもたれを治し、嘔気(はきけ)を治すのが主な効果です。鼻づまりなどを治す効果も期待されています。
一方、普段、薬味として多彩な料理に利用されている生姜(しょうが)ですが、最近の研究では、自己免疫疾患に関する体内の炎症のコントロールに役立つ可能性が示唆されています。
生姜(しょうが)に含まれるジンゲロールという生理活性物質は、白血球の一種の好中球が活性化し、過剰に働くと形成される炎症物質や血栓形成物質に効果のあることがわかってきました。
具体的には、自己免疫疾患の一種である抗リン脂質抗体症候群、SLE(全身性エリテマトーデス)、慢性関節リウマチの患者に生姜(しょうが)から抽出したジンゲロールを投与すると、上記の疾患に特有の大静脈血栓症の発生や自己抗体の産生が減ることが観察されました。
好中球が異常に過剰活動してしまう病気は残念ながら多くありながら、その原因や機序が不明な疾患が多いのが現状です。
生姜(しょうが)に含まれるジンゲロールが、好中球の異常な過剰活動を抑制し、複数の異なる自己免疫疾患や炎症の症状の改善効果や治療に役立つ可能性を秘めていることは重要であり、世界でも注目を集めています。
生姜(しょうが)の効果は、今後、SLE(全身性エリテマトーデス)、慢性関節リウマチ、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)などの自己免疫疾患や炎症性疾患の患者に臨床試験を行うことも視野に入れて研究が進む可能性を秘めています。
|