ホーム > ドクターコラム > 肩こりに効く漢方
最近は、パソコンを使用したり、運動不足などから、肩こりを自覚する人も多いのではないでしょうか。
肩こりの原因には、不眠やイライラなど精神的な緊張の持続や、冷え性による局所の血流不足、消化器の失調から派生するもの、女性では月経不順や更年期障害から派生するものまで、幅広い原因が挙げられます。
肩こりの漢方治療では、患者さんの体質を、陰(いん:冷えている)と陽(よう:のぼせている)状態か、虚(きょ:体力がない場合)と実(じつ:体力が充実している)状態かを見極めたり、気血水の巡りが良いのか悪いのかを見極めたりしながら治療を進めていきます。
虚弱体質で冷え性がある肩こりでは、『桂枝加朮附湯(けいしかじゅつぶとう)』を用います。
さらにむくみがあれば、『桂枝加苓朮附湯(けいしかりょうじゅつぶとう)』を用います。
虚証で緊張性頭痛を伴う肩こりには『桂枝葛根湯(けいしかっこんとう)』を用います。
虚証・冷え性・色白で、貧血や月経困難などのお血(おけつ:血液の滞りがある)のある例では『当帰芍薬散』を用います。
虚実中間証でホットフラッシュなどの「冷えのぼせ」がある場合には、『桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)』、同じくホットフラッシュがあり、イライラなどの精神症状があれば、『加味逍遥散(かみしょうようさん)』が用いられます。
実証(体力がある状態)で肩や首が凝る場合には『葛根湯(かっこんとう)』、高血圧や肥満などを伴う場合には『大柴胡湯(だいさいことう)』、同じく高血圧や肥満や便秘のある例では『防風通聖散(ぼうふうつうしょうさん)』が用いられます。
家でできる簡単な肩こりの治療としては、蒸しタオルを肩に当てる温熱療法や、体を温める成分の入った入浴剤を入れた風呂で体を温めるなどの方法があります。
なかなか治らない頑固な肩こりの場合には、骨や筋肉の異常などの整形外科的疾患や内臓に原因のある場合があるので、一度は医療機関で診てもらうのが良いと思われます。
(院長: 小野村)